登山の予定と生理がかぶってしまった——。
「どうしよう、行くべき?やめるべき?」と迷った経験がある人は多いのではないでしょうか。
私自身も、せっかく計画していた登山の日に生理が来てしまい、悩んだことがあります。
今回はそんな実体験をもとに、生理中の登山の注意点や、快適に過ごすための工夫を紹介します。
生理中でも登山はしていいの?
生理中の登山については、
「日帰り登山か」「小屋泊か」「テント泊か」、
そして「山頂や登山ルート上にトイレがあるか」「長時間の行動になるか」によって、難易度が大きく変わります。
無理は絶対に禁物
まず大前提として、生理痛がひどい人や出血量が多い日は、登山は中止しましょう。
というより、まともに登山なんてできないはずです。
無理をしても何も楽しくありません。
万が一、経血が漏れて登山ウェアが汚れてしまったら、嫌な思い出しか残りません。
生理痛に気を取られると、せっかくの美しい景色も台無しです。
ふらついてケガをしたり、滑落する恐れもあります。
同行者にも気を使わせてしまうし、自分自身も気持ちよく過ごせません。
生理中の登山で一番大切なのは、無理をしないことです。
特に多い日を避け、生理痛が軽い日や体調が安定している日を選んで登るのがベター。
そのうえで「どうしても登りたい」「体調も悪くない」という場合に限り、生理中の登山についてお話しします。
日帰り登山の場合
まず、山頂にトイレがあるかどうかを必ずチェックしましょう。
また、山頂にトイレがあったとしても、手洗い場がない場合が非常に多いです。
そのため、以下のようなアイテムを持っていくことで、生理中の不快感や不衛生感を軽減できます。
- ウェットティッシュ
- おしりふきシート
使用済みナプキンの処理について
多くの山ではゴミ箱が設置されていません。
使用済みナプキンは必ず持ち帰る必要があります。
ゴミを入れるような袋は多めに持っていくと安心です。次のようなアイテムがあるとニオイも防げます。
- 防臭袋(BOSなど)
- ジップロック
山泊(小屋泊・テント泊)の場合
山小屋泊やテント泊の場合は、とにかくいろいろ覚悟しましょう。
基本的に、山のトイレはきれいではありません。
ものすごくきれいな水洗トイレがある山小屋も稀にありますが、そんな山小屋は超レアケースです。
口コミで「トイレがきれい」と書かれている山小屋もありますが、
それはあくまで“山小屋にしてはきれい”という意味で捉えたほうが良いです。
実際には、汚かったり臭かったり、電気がなくて夜は真っ暗な場合もあります。
そんな環境でナプキンを交換しなければならないため、不快感との戦いになります。
なるべく、行ったことのある・使い勝手がわかっている山へ行ったほうが安心です。
初めての山に行く場合も、事前に施設情報を確認し、トイレや洗面環境が整っている山小屋を選ぶようにしましょう。
お風呂に入れない問題
山泊のときは、基本的にお風呂に入れません。
「ナプキンが気持ち悪いから洗い流したい…」という思いをグッと我慢して過ごす必要があります。
ここは我慢するしかないです。
多めにおしりふきシートを持っていき、トイレで拭き取ることで多少スッキリできます。
温泉にも入れない問題
山泊する時の楽しみといったら、なんと言っても温泉でしょう!
疲れた体を癒すのもそうですし、そもそも数日間も汗だくなのにお風呂にも入れず、体が汚れで重いんです。
汚れは重み!!
それを洗い流すために山に登っていると言っても過言ではありません。
そんな時に、生理で温泉にも入れないなんて…え、何しに行ったの? って感じです。
こればっかりは対策のしようもないので、グッと耐えて体拭きシートでやり過ごすしかありません。
1番のおすすめ方法は「生理日をずらす」
私が一番おすすめするのは、そもそも登山するタイミングで生理が来ないように調整することです。
日帰り登山であれば多少の対応はできますが、特に山泊(小屋泊・テント泊)だと、生理は大きな悩みの種です。
多くの場合、3連休などの人気日を狙って1ヶ月前からバスや山小屋を予約します。
生理が来るタイミングを避けて、3連休を狙って、かつ山小屋やバスなどの予約もできる日なんて狙っていたらいつまで経っても予約できません。
なので、予約はしてしまって、事前に自分の生理周期を確認しましょう。
「あ、生理やばいな」と思ったら対策をするのがおすすめです。
生理日を管理するのならば、ルナルナなどのアプリを利用しても良いですし、スマートウォッチを利用している場合はそこで登山の記録と一緒に管理してしまうと便利です。
私はhuawei bandを利用しているので、huawei healthアプリでトレーニング結果と一緒に生理日の管理もしています。

生理日をずらす方法
生理日は中容量ピルでずらせます。
生理のタイミングによって服用開始日や期間は変わりますが、10日〜2週間ピルを服用することで、生理を前倒しにするか、遅らせることが可能です。
中容量ピルは婦人科で処方してもらえます。「生理日を移動させたいです」といえば対応してくれます。
初めての婦人科受診は緊張するかもしれませんが、お医者さんにとってはよくある相談です。スムーズに処方してもらえます。
婦人科に行く時間が取りにくい場合は、オンライン診療でも処方が可能です。
私自身も仕事で平日忙しいため、オンライン診療を利用しています。
朝7:00から予約でき、30分程度で手続きが完了するので、出勤前にサクッと済ませることができてとても便利です。

個人輸入は自己責任
iHerbなどで海外からの個人輸入も可能ですが、これは自己責任となりますし、あまりおすすめできません。
私も以前は個人輸入で服用していましたが、体調不良があったときに相談できなかったのが辛かったです。
お医者さんにピルを個人輸入しているなんて言ったら、絶対に嫌な顔をされて止められるだけですからね。
人体に関わるものなので、できるだけお医者さんから処方してもらう方が安心です。
生理日がずらせない場合もある
ただ、ピルは生理のタイミングを見計らう必要があるので、失敗したり、対策が手遅れになる場合もあります。
できるだけ日頃から生理周期を記録しておいた方が対策が取りやすいです。
ルナルナなどの生理を管理するアプリもありますし、わたしはスマートウォッチに生理を記録する機能があるのでそれを活用しています。
また、常用しているお薬があって飲み合わせが悪い場合や、タバコを吸っている場合は処方できない可能性があります。お医者さんと相談してみましょう。
どうしても生理とバッティングしてしまう場合は、あとは覚悟を決めるだけです。
ナプキンの持ち方・工夫
ナプキンはできるだけ多めに持っていき、
ザックやポケットなど、いろんな場所に分散して入れておくのがおすすめです。
特に山泊前提の縦走をしていると、トイレに遭遇する頻度が少なく、
ナプキンの交換タイミングがうまく取れません。
いざトイレを見つけたとき、すぐ取り出せるようにしておくと安心です。
生理中の登山持ち物
生理中でも快適に登山を楽しむために、次のアイテムを準備しておくと安心です。
- 鎮痛剤
生理痛がなくても、念のため鎮痛剤は必ず持っていきましょう。
登山では、体調の変化や思わぬケガ、疲労による頭痛なども起こりやすいため、「生理だから」ではなく、普段から常備しておく習慣をつけておくのがおすすめです。 - 防臭袋(BOSなど)
使用済みナプキンを入れるのに必須。 - ウェットティッシュ/おしりふきシート
ウェットティッシュはアルコールが入っているものもあってデリケートゾーンを拭き取るには向かないものもあります。赤ちゃん用のお尻拭きシートを多めに持っていくと安心です。 - 生理用ショーツ
普通の生理用ショーツでも良いですが、登山はものすごく汗をかくので、臭くなってしまう可能性が高いです。登山用の速乾性のあるタイプを選びましょう。ファイントラックのドライレイヤーベーシックサニタリーショーツやモンベルのジオライン メッシュ サニタリーショーツが有名で、手堅いです。

生理用品の選び方(ナプキン・タンポン・月経カップ)
ナプキン
ゴミも多く出るし汗も吸って不快感もすごく、ひどい有様になりますが、一番衛生的でリスクがないです。
運動中の不快感が我慢できるのであれば、ナプキンが無難に良いと思います。
どうしてもナプキンの不快感がたまらなく嫌!という方はタンポンや月経カップの併用もチャレンジしてみるのも良いかもしれません。
タンポン
長時間の登山でも比較的快適に過ごせます。
ただし、交換のタイミングには注意が必要です。
長時間放置すると感染リスクがあるため、6〜8時間以内に交換したほうがよいです。
山はいつトイレに辿り着けるかが不透明なので、事前にYAMAPなどでトイレの場所を確認し、トイレ計画を立てておくと安心です。
YAMAPの地図ならトイレ情報も確認できます。

月経カップ
月経カップはクセが強いので、向き不向きがあります。
私は2年間くらい使っていましたが、結局ナプキンの方が気が楽で使うのをやめてしまいました。
特に気にならずに使える方にはとても良いアイテムだと思います。
慣れるまでは何度も装着に失敗して経血が漏れまくる可能性が高いです。
必ず事前に練習しておくことを強くお勧めします。
また、多い日は防げません。量が少ないときであれば快適に過ごせると思います。
取り外しする時は指が血まみれになるので、アルコール除菌シートは大量に持っていきましょう。
まとめ:生理中の登山は「無理せず・準備して・快適に」楽しもう
「生理中でも登山はできる?」と悩む女性登山者は少なくありません。
正しい準備と無理のない計画を立てれば、生理中でも登山を楽しむことは可能です。
特に大切なのは、次の3つのポイントです。
- 体調を最優先にすること
出血量が多い日や生理痛が強い日は無理せず中止を。安全が第一です。 - 事前準備をしっかり行うこと
防臭袋・おしりふき・生理用ショーツ・鎮痛剤などを揃えて、トイレ環境が悪くても快適に過ごせる工夫を。 - 生理日をずらす対策も検討すること
中容量ピルを活用すれば、生理日を前倒し・後ろ倒しに調整できます。
婦人科やオンライン診療で早めに相談しましょう。
また、山泊やテント泊のような長期登山では、トイレ環境が限られるため、ナプキンの管理・持ち帰り方法を事前に考えておくことも重要です。
生理中の登山対策は、「快適さ」よりも「安全と衛生」を優先に。
生理が来ても登山を諦める必要はありません。
自分の体と相談しながら、しっかり準備を整えて、自然の中での最高の時間を楽しみましょう。


