登山の楽しみのひとつといえば、山頂でのご飯タイム。
特に夏が終わって肌寒くなり、標高の高い場所で、雄大な自然を眺めながら食べるランチはひとしおです。
しかし、山には山なりのやり方があります。油断すると失敗します。我々夫婦も、ちょっとしたハイキング気分でご飯の準備をしていったら失敗しました。
そこで今回は、山頂で食べるご飯について語ります。
山頂のカップ麺は鉄板。でも注意!
山といえば、山頂でのカップ麺は王道です。
筋肉をいじめ抜いて満身創痍で山頂につき、いかにも体に悪そうなカップ麺を啜り、疲れた体にガツンと添加物を入れるあの背徳感。たまりません。
しかも寒い日に、標高の高い風に当たり体が冷えてきた頃合いに食べるカップ麺は格別です。
しかも用意も簡単。お湯を沸かすだけで食べられます。
なんの落ち度もなさそうに見える山頂カップ麺。
しかし、ご注意ください。カップ麺の汁は全部飲み切る覚悟が必要です。
山ではゴミを捨てる場所や水道がありません。スープを山に捨てることも許されません。ゴミやカップ麺のスープも、自己責任で処理する必要があります。
なので、スープは飲み干すか、空のペットボトルなどに入れて持ち帰るようにしましょう。
我が家も一度やらかしました。
寒くなってきた頃、意気揚々とバーナーとカップ麺を携えて登ればいいんじゃね? いいんじゃね!? と安易な気持ちで臨みました。
そして食べ終わる頃に気づいてしまったのです。
「え、このスープ、どうするの…!?」
しかも旦那に限っては、BIGサイズのカップヌードルを買っていやがる、だと…!?
「飲めない。ちょっと飲んでくれない?」
「いや、私も自分の分でお腹いっぱいだし…」
夫婦で醜い押し付け合いをした挙句、なんとか2人で飲み切りましたが、下山中は気持ち悪くなり、トイレも行きたくなりました。
この事件をきっかけに、我々はカップ麺は持っていかなくなりました。
その代わり、飲み切りやすい春雨スープや、カップ麺を持っていくことにしています。
アルファ米+レトルトで山頂ご飯
山頂でしっかりお食事をしたい場合は、アルファ米とレトルト食品がお手軽です。
お湯さえあれば、山頂で暖かい山ごはんを楽しめます。
- アルファ米
お湯を入れるだけで白米ができる優れ物です。メーカーによりますが、我が家は尾西のアルファ米をまとめ買いしています。お湯を入れてから15分ほど待てば白米の出来上がり。待っている間、アルファ米入りのお湯を湯たんぽ代わりに体を温めるのも良いです。
- レトルト食品
レトルトハンバーグやカレーなど、いろんなメーカーから出ているのでお気に入りのものを持っていきましょう。バーナーと湯煎用のクッカーやメスティンがあれば温められます。
- フリーズドライ
最近のフリーズドライは侮れません。卵とじ、親子丼、中華丼、ビーフシチューなど、驚くほどクオリティが高いです。少量のお湯を混ぜるだけでできてしまうので、湯煎すら面倒な場合はフリーズドライがおすすめです。
山頂で調理する方法
山頂で料理の楽しみに目覚めたい場合は、調理も可能です。
メスティンでお米を炊いたり、パスタを作ったり、ベーコンを焼いたりできます。
バーナーとクッカーを持っていれば、山飯も作れます。我が家でも即席パスタをよく作っていました。
材料例
- 水 適量
- 早ゆでパスタ
- コンソメスープの素
- 塩胡椒
- 肉(ソーセージや火が通ったサラダチキンなどだとさらに簡単に)
- お好みのトッピング(コーン、味噌汁のもと、わかめ、オリーブ、ガーリックチップなど)
作り方
- メスティンやクッカーで水を沸かす
- 残りの材料を入れて煮込む
- 塩胡椒で味を調整して食べる
シンプルなコンソメに飽きたら、アレンジも可能です。
- ケチャップやトマトペーストを混ぜてトマト煮込み風
- 水少なめ&豆乳で煮込んで豆乳スープパスタ風
山頂で調理する時の注意点
山頂にはゴミ箱や水場がないため、洗い物ができません。
使い捨て容器を持参して持ち帰る、または調理器具をウェットティッシュで拭き取って帰宅後に洗うなどの工夫が必要です。
お湯だけ必要な場合
カップ麺、アルファ米、フリーズドライ食品など、お湯だけあれば良い場合は、水筒を持っていけば済みます。
出かける前にお湯を沸かして、保温できる水筒に入れて持っていくだけです。とても簡単ですし、調理時間も短縮できます。
水筒にもよりますが、我が家のサーモス魔法瓶の場合、朝5時に熱湯を入れて12時頃に春雨スープを作ると、ちょっと熱い?くらいの温度になっています。熱々でないと許せない!というわけでなければ、十分許容範囲内です。
ただし、湯煎で温める場合は温度が足りないことがあるので、バーナーを持っていった方が無難です。
調理・湯煎をする場合
熱々のお湯が欲しい場合や、山頂で調理をする場合は、ガスバーナーや固形燃料が必要です。
バーナーは標高の高い山でも安定して火力が出るので、何も考えずに調理したい場合はバーナー一択で問題ありません。
固形燃料はお湯を沸かすだけなら有効です。お昼ごはんで使う水の量を前もって把握しておけば、荷物を軽くできます。
エスビット固形燃料は使用後、調理器具が汚れてベタベタすることや、ケミカルな嫌な匂いがあるためクセがあります。
ファイヤードラゴンはアルコール固形燃料のため、ベタつきがなく、さらにアルコールでカトラリーやナイフの消毒もできる優れものです。
調理器具
料理もしたい場合は、クッカーが必要になります。
我が家は荷物を増やしたくなかったので、何でもかんでもメスティンで調理できるよう試行錯誤していました。
パスタなどの茹でる料理や、レトルト食品の湯煎はメスティンで済ませていました。
ただし、メスティンは炒め物には向きません。すぐにくっついて焦げてしまいます。
ベーコンやソーセージ、焼きそばなどの炒め物を山頂で楽しみたい場合は、テフロン加工された調理器具を持っていくことをおすすめします。
テフロン加工されていれば、調理後にウェットティッシュで簡単に汚れを落とせるので、片付けもかんたんです。

まとめ:山頂ご飯を楽しむためのポイント
山頂でのランチは、登山の楽しみのひとつです。
でも、山ならではの注意点や工夫を押さえておかないと、思わぬ失敗や不快感につながります。
- 手軽に楽しみたいならカップ麺やフリーズドライ食品
スープは飲み干すか持ち帰ることを忘れずに。 - しっかり食べたいならアルファ米+レトルト
お湯さえあれば、山頂で温かいご飯が楽しめます。 - 料理に挑戦したいならメスティンやクッカー+バーナー
パスタや炒め物も作れるので、山ご飯の幅が広がります。 - お湯だけ必要なら保温水筒が便利
調理時間を短縮でき、手軽に温かい食事を楽しめます。 - ゴミや洗い物の工夫を忘れずに
山にはゴミ箱も水場もありません。使い捨て容器やウェットティッシュを活用しましょう。
山頂でのご飯は、準備と工夫次第で快適さが大きく変わります。
自分の登山スタイルや体力に合わせて、「手軽に」「しっかり」「調理して楽しむ」など自由に選んでみてください。
山頂での一口が、登山の思い出をさらに特別なものにしてくれます。

